2015年9月号の記事
甘利経済財政相は、8月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。そのなかで景気の基調判断は、「このところ改善テンポにばらつきもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。」として5カ月連続で判断を据え置いた。
個別項目では、個人消費の判断を「持ち直しの兆しがみられる」から「総じてみれば底堅い動きとなっている」に11カ月ぶりに下方修正した。円安を起因とする食料品などの値上がりにより消費者の節約志向が根強いことを反映した。
輸出の判断も、アジア、米国向け輸出の伸び悩みを踏まえ、先月の「おおむね横ばいとなっている」から「このところ弱含んでいる」に引き下げた。一方で住宅建設は「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に上方修正した。
また、世界景気の基調判断については、中国景気の減速が周辺国に波及していることから「アジア新興国に弱さがみられる」とし、3年ぶりに下方修正した。
先行きについては、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待されるとし、リスク要因としては、引き続き「中国経済をはじめとした海外景気の下振れ」を挙げている。また、金融資本市場の変動への留意を促している。
日本銀行が発表した8月の金融経済月報は、「緩やかな回復を続けている。」とした。先行きについては「景気は緩やかな回復基調を続けていくとみられる」としている。