2015年8月号の記事
国交省は7月8日に「国土交通月例経済(6月号)」を公表した。
日銀の6月短観では、業況判断指数([良い]―[悪い])をみると、大企業の製造業で3月短観より3ポイント改善してプラス15と3四半期ぶりの改善となり、3カ月後の先行きもプラス16で、足元より1ポイント改善した。大企業の非製造業も3月短観より4ポイント改善してプラス23と高水準となった。
同短観での建設業の業況は、全規模でプラス16(大企業がプラス34、中小企業がプラス11)と、公共投資の減少等が見込まれる状況であったが、3月短観に引き続いて高水準を保ち、また、3カ月後の先行きは全規模でプラス11と下降したが、下降の幅は大きくない。
公共工事受注額(4月)は、総計(1件あたり500万円以上の工事)で、前年同月比44.4%減と前年同月比で3カ月連続の減少となった。最新データ(7月10日公表)の5月分では、国の機関は前年同月比23.4%減、地方の機関は同31.1%減で、全体として同28.7%減と大幅な減少で、前年同月比で4カ月連続の減少となった。
7月の月例経済報告では、公共投資について「総じて弱い動きとなっている」「先行きについては弱い動きが続くことが見込まれる」とされたが、公共投資は、今後、そのとおりの動きが続くであろう。
新設住宅着工戸数(5月)は、前年同月比で持家、貸家、分譲住宅のいずれも増加し、総計71,720戸(前年同月比5.8%増)と3カ月連続の増加となった。年率換算値(季節調整済)は91.1万戸(前月比0.2%減)となり、2カ月連続の減少となった。
持家着工は、前年同月と比べて1.1%増加し、16カ月ぶりの増加となったが、季節調整値の前月比では4.8%減少した。
貸家着工は、相続増税の節税対策等もあって前年同月比の減少幅は微減にとどまっていたが、5月は前年同月と比べて2.8%増加し、2カ月ぶりの増加となった。季節調整値の前月比では0.4%減少した。
分譲住宅の着工は、前年同月と比べて18.1%増加し、2カ月連続の増加となり、季節調整値の前月比でも8.0%増加した。
住宅の着工について、先行指標である6月の受注速報をみると、持家(大手5社平均)、貸家(大手3社平均)ともに10月以降、9カ月連続してプラスとなった。国交省も先月に引き続き「住宅着工は、消費税率引上げにともなう駆け込み需要の反動減の影響が薄れており、緩やかに持ち直しているとみている」とした。7月の月例経済報告でも、住宅建設については「持ち直しの動きがみられる」と判断は維持された。
民間非居住建築物着工床面積(5月)は390万m²、前年同月比10.1%増、2カ月連続の増加となった。前年同月比で、店舗は6カ月ぶりの増加、工場は5カ月連続の増加、倉庫は2カ月連続の増加となったが、事務所は2カ月連続の減少となり、全体で増加となった。
日銀の6月短観では、大企業の2015年度の設備投資計画は、前年度比で全産業は9.3%増、製造業は18.7%増、非製造業は4.7%増と、3月短観から大幅に上方修正されている。
また、日本経済新聞社が国内主要企業を対象に行った「社長100人アンケート」(6月21日まとめ)でも、過去最高水準にあるといわれている上場企業の手元資金100兆円の重点的な振り分け先(2つまで回答)として、「設備投資」と回答したのが53.4%と最多で、また、日本国内への設備投資額は2014年度に比べて「上回る」が20.3%、「やや上回る」が23.0%と海外を上回る傾向となった。
このように企業の設備投資意欲は旺盛に見え、それが実際の設備投資や建設投資に結び付くことが期待される。