知っとく用語解説一覧

足きり(請負契約)

 随分ぶっそうな用語ですが、大震災やインフレに見舞われた際に、必ず出くわす用語です。今回の大震災でいえば、完成間近な工事現場が大津波ですっかり流されてしまった場合、それまでかかった工事費用は発注者・請負業者のどちらが負担するのか、という深刻な問題があります。民法の規定では、「危険負担による債務者主義(請負業者負担)」、あるいは請負業者の「工事完成債務の履行義務」を厳格に考えると、すべて請負業者負担となります。しかし、民法の規定は任意規定ですし、その考えを貫くと、請負業者の経営はギャンブルのようになり、かえって、発注者にも重い負担を強いることになります。
 このため、公共工事標準請負契約約款では、損害額のうち、請負代金額の1%は、請負業者が負担して、残りは発注者が負担をするという、損害の負担を転換した約定になっています。この請負業者が負担する1%がいわゆる「足きり」なのです。
 この足きり率は、昭和47年以前は4%でしたが、その年の改正で2%に、さらに昭和56年には1%に改正され、現在に至っています(公共工事標準請負契約約款第29条第4項参照)。

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