建設工事の瑕疵担保責任は、債務不履行の一形態であり、通常は不完全履行の一つと理解されています。要は請負契約における瑕疵担保条項に基づく責任です。建設業者であれば、この点は日常のこととして理解されていることと思います。しかし、以前問題になった設計図書偽造により建築された建物の重大な欠陥については、瑕疵担保責任とは別に、不法行為責任も問題となったことは記憶に新しいと思います。この二つの責任は一見よく似ていますが、やはり相当大きな違いがあります。通常の請負契約であれば、建設業者が不法行為責任が問われることはほとんど生じませんが、故意あるいは建設業者なら当然気がつくようなことを失念して発注者に損害を及ぼした場合には、瑕疵担保責任とともに、不法行為責任も問われることがあります。
原則として契約当事者間の問題である瑕疵担保責任と、場合によっては契約当事者以外の者が直接責任を問うことのできる途のある不法行為責任とでは、その責任追及の期間やら損害額の範囲やらも違っている部分があり、注意が必要です。
(一社)日本電設工業協会が発行するメールマガジン『電設業界』は、当協会の会員並びに電業協会会員企業に所属されている方を対象に無料で配信しております。会員/電業協会会員企業に所属されている方であれば登録は自由ですので、是非ご登録下さい。