数次にわたって、工事が施工されることが多い建設工事において、ある下請業者が引き起こした賃金不払いについて、発注者から直接請け負った元請が特定建設業者である場合には、建設業法第41条第2項に基づき、その未払いの下請賃金について、許可行政庁が当該特定建設業者に対して立替払いの勧告をすることができる規定が設けられています。
もっとも、この規定は元請である特定建設業者は、数次の下請の労働者と直接の雇用関係はない以上、直接未払賃金の支払義務を負っていないことは当然ですが、下請施工に総合的に監督責任を負う立場にある特定建設業者に対して、建設業法で特別に課したものです。
しかし、特定建設業者にとっては、例えば一次下請には既に支払っているのに、二次下請の労働者から未払賃金の立替払いを求められる場合があるなど、二重払いのリスクを伴うものでもあることから強制は難しく、さらには、上位の下請業者から支払いを受けていない下請業者が、自社の労働者に工面して賃金を既に支払っている場合には、この立替払勧告の対象とはならないことに留意する必要があります。
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