専門工事業の中でも労務下請と呼ばれる職種を中心に、下請代金の決定方法として、いまでも常傭契約による例が多く見受けられます。例えばトビ土工の1日当りの日当を2万円と決定し、後日人工(にんく)で精算するという契約です。「日当」として決定することから、その不払いがあると、近くの労働基準監督署に、「未払賃金立替払い制度」の適用を求めて相談に行くこともよくありますが、ほとんどの場合、常傭契約の代金は賃金ではなく、下請代金そのものであるとして、その適用を受けることができません。この常傭契約は雇用契約とは明確に異なっているからです。
ところで、常傭契約のような下請代金の決定方法は、適切さを欠きますが、それ自体が違法なものではありません。しかし、実務では口頭契約による日当の額そのものがトラブルになると下請側の立証が難しく、人工数でも、工事日報等で元請・下請双方が客観的に確認できる資料が少ないことが多く、トラブルを抱えやすい下請代金決定方法といえます。
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