元請−下請間の請負契約の実務で比較的よく聞く言葉ですが、法的にはきちんとしたものではありません。この用語は、図面に示した数量に増減があっても契約変更の対象にはせず、図面で示された工種以外のものを施工する場合には、追加工事などの変更対象とするという趣旨で運用されていると思われます。新規工種のところは、元請−下請間にあまり問題になっていないと思われますが、数量増減については、元請−下請間で争いが起こるきっかけになることがあります。
確かに建設工事の請負では、当初見込みの施工数量が工事完了後の数量とぴったり一致するということは、むしろ考えにくいところです。でもだからといって、わずかな数量の違いをすべて契約変更の対象とするということもこれまた現実的ではないところです。そこで図面契約という用語が必要になってきたものと思われます。
しかし、このように考えてきても、見積時の設計数量と工事完了時の施工数量が大幅に異なる場合でも、増減による契約変更を認めないという合意が特に下請側にあったのかは、不明と判断される余地も出てきます。このようなトラブルが生じた場合には、建設工事紛争審査会での審理を申請して、公正な第三者の判断を仰ぐのも一つの方策です。
(一社)日本電設工業協会が発行するメールマガジン『電設業界』は、当協会の会員並びに電業協会会員企業に所属されている方を対象に無料で配信しております。会員/電業協会会員企業に所属されている方であれば登録は自由ですので、是非ご登録下さい。