協会トピックス

新型コロナウイルス感染症拡大による企業活動への影響に関するアンケート結果

令和2年10-11月実施 〜経営企画委員会・経営実態調査WG〜

1.目的: 当協会は新型コロナウイルス感染症の蔓延拡大を踏まえ、電気設備業界の現状を把握し、必要に応じた対策等を検討するため「新型コロナウイルス感染症拡大による企業活動への影響に関するアンケート」調査を正会員企業対象に実施した。
2.実施日: 令和2年10中旬〜11月末
3.対象企業: 正会員295社(令和2年10月8日現在)を対象
4.回答数: 215社(回収率72.9%)

 設問及びその回答は下記の通りであった。

【設問1】 新型コロナウイルス感染症の拡大により、企業活動に影響を及ぼしていますか。

<結果要約>
企業活動への影響

  • ・影響が出ている・・・・・・・・ 44%
    ・今後影響が出てくる可能性あり・ 35%
    ・影響はない・・・・・・・・・・ 21%
【設問2-1】 設問1で「影響が出ている」とご回答された方へお伺いします。
どのような影響を及ぼしましたか。具体的にご記述ください。

<結果要約>
既に影響が出ている会員の主な状況
 コロナ感染による先行き不透明な経済状況を受け、設備投資の抑制により、受注高、さらには、完成高への減少への業績への危惧がうかがえる。

他の主なコメント

  • 1)業績面
    ・協力会社の経営が苦しくなっている
    ・受注が回復していなければ単価が下がる
  • 2) 現場関係
    ・在宅勤務では書類のやり取り等で業務の進め方で戸惑い
    ・しわ寄せ対応における必要増員の人員確保難により外注単価高騰
  • 3) 営業関係
    ・工事の規模縮小が多く、1件当たりの契約額が減少傾向にある
    ・出張、面談、打合せ等が制限される
    ・資格取得、更新業務停止に伴う影響
【設問2-2】 設問1で「今後影響が出てくる可能性がある」とご回答された方へお伺いします。どのような影響を及ぼすことが予想されますか。

<結果要約>
今後の想定される影響の主な事項
 受注、完成高の落ち込みによる業績への影響の高まり、また現場において人材の調整をする課題を予想する内容が示された。

他の主なコメント

  • 1) 業績面
    ・受注競争激化が進み受注単価が低下
    ・資金調達、運用に不安あり
  • 2)現場関係
    ・しわ寄せ等により工期末に作業が集中するものと予想
    ・感染時の代替人員(施工人員)不足
  • 3) 営業関係
    ・通信SR化工事は増加する
    ・技術者配置の調整難(工期延長、出社制限等)で受注見送りも発生

※通信SRとは、ソフトバンクによれば、SRはセグメントルーティング(Segment Routing)第5世代移動通信システム(5G)のコアネットワークをシンプル化、最適化する新技術。

【設問2-3】 設問1で「影響が出ている」または「今後影響が出てくる可能性がある」と ご回答された方へお伺いします。現場閉所等(作業中断含む)による契約上の影響はありましたか。
  • <結果要約>
    現場閉所等(作業中断含む)による契約上の影響

    影響あり・・・ 28%
    影響なし・・・ 72%
【設問2-4】 設問2-3で「影響あり」とご回答された方へお伺いします。どのような 影響を及ぼしましたか。

<結果要約>
現場閉所等による影響

    • (1) 協力会社への支援の必要性
      当月の出来高が少なく、支払いも少なくなり協力業者の経営をサポートする必要がある
    • (2) 「しわ寄せ」に対する費用
      工程が遅れても竣工は変更なく遅れを取り戻すために作業員の増員など費用増加が予測される
    • (3) 発注者による追加費用負担
      工程遅れなどによる費用増加分を発注者へ求めても追加変更にならない(=受注者の負担)と予想される

他の主な意見

  • ・協力会社の自宅待機による休業補償の対処
【設問2-5】 その他、新型コロナウイルスに関する業務遂行上の問題点や特筆すべき点がございましたらご記述ください。

<結果要約>
業務遂行上の問題点や特筆すべき点
 意見として73社よりいただき、その主な問題点(課題)は下記の通り
(但し、前設問で取り上げた意見などは割愛した)

  • 1)感染対策としての業務形態(時差出勤、テレワーク、在宅勤務、自宅待機)の運用ルール
    作成、就業規則の見直しの必要性
    ・労務管理と評価制度
    ・書類の運行と捺印の不可欠の対応の仕方
    ・協力会社などへの休業補償
    ・通信環境の整備
    ・BCP(事業継続計画)対応
    ・自宅待機時の補償
  • 2)感染時の現場作業対応とその判断実施基準の策定
    ・稼働制限
    ・中断
    ・再開
  • 3) 実際に感染者が発生した場合、想定通りに対応ができるかを懸念
  • 4) 3次下請レベル下へも当社従業員並みの管理を要求され、現場管理コストが上昇
  • 5)濃厚接触者、感染者が発生した場合の対処は様々で、マニュアル・ガイドラインが作りづらい
  • 6)特に一般住宅等への訪問の際に社員が感染予防対策を十分に行って訪問しているこ とをアピールする必要がある
【設問3】 新型コロナウイルス感染拡大による「緊急事態宣言」の発令以降、どのような勤務体系及び通勤体制を実施されましたか。実施された項目と職種についてご回答ください。また、実施された項目において問題点等ございましたら、ご記述ください。

<結果要約>
勤務体系及び通勤体制に関する実施事項
 ・「時差出勤」と「在宅勤務」ともに半数強、一方、実施せずは約2割

【設問4】 その他、新型コロナウイルスに関するご要望やお困り事等、ご意見がございましたら、ご記述ください。

<結果要約>

  • 1) 会員間の感染対策の情報共有の要望
    ・現場、事務所での感染対策事例
    ・在宅勤務導入に必要な準備事項
    ・テレワーク実施のノウハウ
    ・社内感染者判明時の具体的対応事例
  • 2) 感染予防による現場の作業効率の変化にあった工程の見直しの必要性
    ・マスク着用、密を避けた作業による作業環境の悪化による効率低下
    ・出社体制の多様の中、事前確認・調査が限定されるため確認不足となりその対策検討
    ・作業変化による作業時間と工事期間の延長
  • 3) 在宅勤務、時差出勤、テレワークなどを「働き方改革」への取り入れ検討
    ・現状の在宅勤務は「コロナ対策」としての緊急・強制的な色が強いが、テレワークなども「働き方改革」に取り入れる

以上

協会トピックス

「会員調査」結果についてのお知らせ

 当協会では、本調査を昭和55年度に最初の調査を行い、昭和62年度以降より毎年実施しており、企業会員を対象に、職員数、技術職員数、完成工事高、受注高、有資格者数等、企業経営の基本的な事項を毎年調査し、電気工事業の実態活動の内容を明らかにすることによって、国会や行政機関への請願、陳情等並びに当協会の事業活動の基礎資料として、業界の発展及び地位向上のため幅広く活用するため行っております。

 今回、令和元年度(平成31年4月1日〜令和2年3月31日)を対象に実施し、その結果報告として2つの調査結果を会員サイトに掲載いたしましたのでお知らせいたします。

<本調査書の入手方法>

  • (1)下記URL「会員専用情報ダウンロード」よりログイン
    URL: http://itsys.jeca.or.jp/member/login.php?nid=150
     尚、ログインの際、会員企業名と本メルマガの最終ページ記載の「会員専用ダウンロードサイト」パスワードが必要です。
  • (2)「委員会レポート」をクリック
  • (3)二つ目の大項目「その他経営調査」欄の中より選択

以上の手順にて入手できます。

1)会員企業の経営実態調査結果

本調査項目等は、下記内容事例の通りです。

内容事例

概要版はこちら
https://www.jeca.or.jp/files/libs/3219/20210122130407460.pdf

2)会員企業の採用状況並びに女性活躍促進等に関するアンケート調査結果

本調査項目は、下記の通りです。

  • 1. 採用状況(男女別採用者数/資本金階層別、完成工事高階層別)
  • 2. 従業員数(男女別従業員数/資本金階層別、完成工事高階層別、女性従業員の職種別)
  • 3. 技術職員数(男女別技術者数/資本金階層別、完成工事高階層別、女性技術者の職種別)
  • 4. 役職者数(役職者数/部長級、課長級、係長級)
  • 5. 男女雇用機会均等、男女共同参画、女性活躍推進法に関する取組み

調査の結果はこちら
https://www.jeca.or.jp/files/libs/3220/202101221305208915.pdf

建設業界関連ニュース

2021年度技術検定(施工管理技士)の試験日公表

今年度より試験制度変更、第1次検定の合格者には技士補

 国交省は2020年12月18日、2021年度の技術検定試験のスケジュールを発表した。

■試験実機関

 電気工事施工管理(1級、2級)
(一財)建設業振興基金
https://www.kensetsu-kikin.or.jp/
Tel 03-5473-1581
電気通信工事施工管理(1級・2級)
(一財)全国建設研修センター
https://www.jctc.jp/
Tel 042-300-0205

 2019年6月の建設業法改正に伴い、2021年度試験から試験制度が大きく変更となる。学科、実地の両試験を経て、1級または2級の技士となる現行制度から、施工技術のうち、基礎となる知識・能力を判定する第1次検定、実務経験に基づいた技術管理、指導監督の知識・能力を判定する第2次検定に改める。第1次検定の合格者には技士補、第2次検定の合格者には技士がそれぞれ付与される。

 1級の第1次検定では、これまで学科試験で求めていた知識問題を基本に、実地試験で出題していた施工管理法など能力問題の一部を追加。1級第1次検定の合格者は技士補として、監理技術者の現場兼務を可能とする「特例監理技術者制度」の補佐者となれることから、施工の管理を的確に行うために必要な応用能力を確認するのが狙い。

 検定で判定する範囲の変更とあわせて、合格基準も変更する。現状、学科試験は全体の60%の得点で合格となるが、1級第1次検定は全体の合格基準に加えて、施工管理法(応用能力)の設問部分の合格基準を設ける。例えば、土木施工管理の1級第1次検定では、全体の60%の得点と施工管理法の設問部分の60%の得点の両方を満たすことで合格できる。

 第1次検定はマークシート、第2次検定(建設機械施工を除く)は経験論文と記述式問題とし、出題方式の変更はない。合格に求める知識・能力の水準も現行検定と同程度を維持する。

 2級技術検定も1級と同様の考え方で、従来、実地試験で求めていた施工管理法など基礎的な能力を確認する問題の一部を第1次検定に追加する。ただし、2級の第1次検定は現場経験を前提とせず、学習のみで対応可能である。

関連資料

建設業界関連ニュース

2020年(1-12月)の建設業倒産、過去30年間で最少

今後コロナ禍により受注確保のため価格競争激化、先行きの採算悪化を懸念

 東京商工リサーチがまとめた2020年(1-12月)の建設業倒産件数(負債額1,000万円以上)は、前年比13.6%減の1,247件にとどまった。過去30年間で最少の件数だった。負債総額と平均負債額も減少し、倒産の小口化がさらに進んだ。

 地区別では9地区すべてで前年を下回った。特に、北海道と四国の2地区は3割減と大きく減少したのに対し、中部、北陸、近畿の3地区は1割以下にとどまるなど、減少幅は地区で、まだら模様となった。新型コロナウイルス関連倒産は62件だった。

 建設市場は、2020東京オリンピック・パラリンピック関連工事が一巡したものの、都市部の再開発事業や地域の防災・減災、国土強靱化工事が下支えする構図となっている。強靱化施策が2021年度以降も5か年加速化対策として継続が決定していることから、この構図は2021年度も維持される可能性が高い。

 ただ、民間設備投資意欲減退の度合いが、コロナ禍の中で今後どれだけ広がるか不透明さが増している。東京商工リサーチも今後について、「受注確保のため価格競争が激化しつつあり、人件費や資材費が高止まりする中、先行きの採算悪化は避けられそうにない」と分析している。

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建設業界関連ニュース

ドローン許可基準を緩和、インフラ点検などに活用

国交省、2021年夏までに省令改正

 国交省は、飛行の安全・安心を確保しつつ、インフラ点検や物流でのドローン活用を一層進める観点から、国土交通大臣による許可の基準を緩和する。

 高層構造物などの周辺で高度150m以上の飛行をする場合、人口集中地区(DID)の上空でないなど、一定の要件を満たせば、許可を不要にする方針。DID外に立地する工場の煙突や鉄塔などの点検が容易になる。2021年夏までに省令を改正する予定。

 現行規制は、▽空港など周辺の上空▽高度150m以上の空域▽DIDの上空でドローンを飛行させる場合、大臣許可が必要。

現行規制

国交省:「無人航空機の飛行の許可が必要となる空域について」より

 許可基準の緩和の具体的要件は今後検討する。また、目視外飛行とドローンからの物件投下には補助者の配置を義務付けているが、低い位置からの投下やリスクが低いことを条件に、カメラの設置など代替措置を講じることで、高度150m以上の目視外飛行と物件投下で、補助者の配置が不要と3月末までに改定する許可基準に明記する。

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経営関連・統計情報

内閣府:月例経済報告(令和3年1月)

新型コロナウイルスにより依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる

 1月の月例経済報告では「新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。」とし、基調判断を据え置いた。

 個別項目では、在宅勤務拡大による内食需要で食品や酒類の販売などは堅調だが、感染拡大による自粛で食事会・飲み会・旅行などサービス需要消費が落ち込んでいるとして、個人消費は「持ち直しの動きに足踏みがみられる」と、これまでの表現から下方修正とした。

 一方「設備投資」は、企業の生産活動の持ち直しに伴う設備の更新がみられるなどとして「このところ減少している」という表現から「下げ止まりつつある」に上方修正。また「住宅建設」も貸家の着工減少は続いているが、持ち家の受注は改善傾向にあるとして「弱含んでいる」という表現から「おおむね横ばいとなっている」に上方修正とした。

 景気の先行きについては「内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある」として、引き続き強い警戒感を示している。総括判断は据え置いたものの、新型コロナウイルスの第3波で1月7日及び13日に11都道府県を対象とする緊急事態宣言が再発令となった。また、さらなるリスクを強調したことで今後、下方修正される可能性をはらんでいる。

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経営関連・統計情報

国交省:国土交通月例経済(令和2年12月号)

第3次補正予算案、令和元年度予算案が国会審議へ、再び緊急事態宣言

 新型コロナウイルス感染症は冬期に入って感染者が増加し、1月7日、東京都はじめ1都3県に、続いて13日には大阪等7府県に緊急事態宣言が発令された。

 昨年12月22日に公表された「月例経済報告」では、個人消費に回復の兆し、公共投資は堅調、輸出は増加しており、「厳しい状況の中でも持ち直しの動きが見られる」とされていたが、設備投資や住宅などは依然として低調であり、先行きへの不安から、景気の停滞が長期化することが懸念されている。

 こうした中で、政府は、国土強靭化に係る公共事業関係費1兆7,500億円を含む国費2兆2,600億円、事業費3兆5,000億円を計上する令和2年度第3次補正予算案と、「国土強靱化5か年加速化計画」、さらに防災・減災、インフラ老朽化対策の強化等を図る国土交通省予算を含む令和3年度当初予算案を閣議決定した。

 令和3年度予算案における国土交通省の公共事業関係費は、当初予算ベースでは前年度比約1割の減となっているが、この分は令和2年度3次補正で国土強靭化関係費を令和2年度に前倒しすることによって措置されている。

 従って、これまでの考え方を踏襲すれば、国土強靭化計画期間中の向こう5年間にわたって、ほぼ平成30(2018)年度〜令和2(2020)年度までの公共事業予算の規模(公共事業関係費国費ベースで国土交通省分約6兆円、政府全体では約7兆円か)が、確保される見通しである。

国土交通省関係予算の概要は以下でご覧頂くことができる。
https://www.mlit.go.jp/policy/file000004.html

【公共工事受注等】

 「建設工事受注動態統計調査」による公共工事受注額(11月、1件当たり500万円以上の工事)は、前年同月比3.3%増で、3か月連続の増加となった。発注者別に見ると、「国の機関」は、前年同月比9.1%減で、3か月ぶりの減少、「地方の機関」は、同9.4%増で、3か月連続の増加となった。

 「建設総合統計」による11月の公共工事出来高は、2兆2,115億円(前年同月比6.0%増)となり、20か月連続の増加となった。公共工事の手持ち工事高については、15兆7,581億円(前年同月比1.8%増)となった。

 民需に勢いがない現在、公共投資が引き続き堅調さを保つことは、建設市場のみならず、景気全体から見ても極めて重要なポイントである。円滑な執行のためには、発注者側の体制や現場技術者、技能者の確保が課題であり、コロナ禍と働き方改革の中での積極的な取り組みが期待される。

【住宅着工等】

 11月の新設住宅着工戸数は、70,798戸で、前年同月3.7%の減少となった(17か月連続の減少)。また、季節調整済年率換算値は前月比2.3%増の82.0万戸(4か月ぶりの増加)となった。

 利用関係別に見ると、持家は、前年同月比1.5%増と16か月ぶりの増加(季節調整済前月比7.8%増)、貸家は、前年同月比8.1%減と27か月連続の減少(季節調整済前月比5.3%増)、分譲住宅は、前年同月比6.1%減で13か月連続の減少(季節調整済前月比6.0%減)となった。

 「建設総合統計」における11月の民間居住用建築の建設工事出来高は、1兆2,802億円(前年同月比6.7%減)となり15か月連続の減少となった。一方、手持ち工事高は5兆3,776億円(前年同月比4.3%減)となっている。

 現在は、昨年度前半の停滞を取り戻している段階であり、やや回復の兆しが見えている。しかし、感染拡大の収束は残念ながら道半ばの状態であり、懸念通りコロナショックは長期化に至りつつある。すでに、雇用・勤労者所得には影響が出始めており、2021年度については、より厳しいものになると見込まれる。

【民間非居住用建築物・民間土木工事着工】

 「建築着工統計調査」による民間非居住用建築物着工床面積(11月)は、309.1万m²(前年同月比7.7%減)となり、2か月連続の減少となった。使途別の前年同月比を見ると、「事務所」が7.1%減で、7か月連続の減少、「店舗」は29.8%増で、2か月連続の増加、「工場等」は53.1%減で、11か月連続の減少、「倉庫」は32.0%増で、5か月連続の増加となった。

 用途別の「宿泊業、飲食サービス業用建築物」は、40.6%減で、5か月連続の減少となった。「医療、福祉用建築物」は、21.9%減で、こちらも5か月連続の減少となった。

 「建設工事受注動態統計調査」における11月の民間等からの受注工事のうち、「建築・建築設備工事」(1件5億円以上の工事)は、前年同月比2.3%減で3か月連続の減少となった。民間等からの「土木工事及び機械装置等工事」(1件500万円以上の工事)は、前年同月比5.9%増で3か月連続の増加となった。

 「建設総合統計」における11月の出来高を見ると、民間非居住用建築が8,340億円(前年同月比9.7%減)、民間土木が4,165億円(前年同月比0.0%減)、また、民間非居住用建築の手持ち工事高は、5兆9,999億円(前年同月比4.0%減)、民間土木の手持ち工事高は、4兆7,087億円(前年同月比11.2%増)となっている。

 民間非住宅建設投資については、コロナショックによる受注の減少が、主に顕在化してきており、倉庫を除いて、おおむね減少傾向が続いている。事務所、工場などでは改めて減少傾向が強まりそうな兆しが見られる。企業の設備投資の態度は、7-9月期の機械受注に回復の兆しが見られたが、年始からの緊急事態宣言でより慎重化した可能性がある。

 手持ち工事高は、非住宅建築と土木の合計で10兆7,086億円(前年同月比2.2%増)となっているが、政府の経済対策が、どの程度民需を刺激するか注視する必要がある。

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経営関連・統計情報

2020年度・2021年度の建設投資見通し

2020年度の名目建設投資は、前年度比3.1%減、2021年度は、2.4%減となる見通し

 (一財)建設経済研究所は、日本経済新聞社の「NEEDS日本経済モデル」をベースとして、政府建設投資、民間住宅投資、民間非住宅建設投資の建設関連部門を充実させた「建設経済モデル」を使用し、「建設経済モデルによる建設投資の見通し」を四半期ごとに公表している。

 最新の「見通し」は、本年1月27日に公表したところである。

【建設投資(総額)】

 2020年度は、政府建設投資は、2019年度に引き続きおおむね堅調に推移すると見ていたが、新型コロナウイルス感染症の拡大が影響し、民間住宅投資、民間非住宅建設投資は、減少し、全体としては名目65兆3,500億円(前年度比3.1%減)、実質55兆8,600億円(前年度比1.5%減)となる見通しである。民間住宅投資の落ち込みが予想よりも小さく、民間非住宅建設投資が微増したので、10月の予測よりも若干の上方修正となった。

 2021年度は、2020年度第3次補正予算案が、「防災・減災、国土強靱化5か年加速化計画」とともに昨年末に閣議決定され、初年度に当たる2021年度については、この2020年度第3次補正予算で、公共事業関係費約1兆7,500億円を含む国費2兆2,600億円、事業費3,500億円が前倒し措置することとされた。

 この補正予算案とともに、インフラ老朽化対策等を含む2021年度当初予算案が現在国会で審議中である。両予算が成立すれば、10月予測で前年度比18.1%減としていた政府建設投資については、2.0%減まで持ち直す見込である。

 民間建設投資については、建築補修が一層減少する見込みであり、その下方修正分が約5,000億円程度と推計されることから、2021年度の建設投資全体は、名目61兆8,000億円(前年2.4%減)、実質54兆3,900億円(前年度比2.6%減)となる見通しである。10月予測よりも名目で3兆6,200億円(6.4ポイント)の上方修正となった。

【政府建設投資】

 2020年度の名目政府建設投資は、2018年度当初予算、第1次及び第2次補正予算、2019年度当初予算及び補正予算による事業等が出来高として実現することから、前年度比4.1%増の25兆8,800億円となる見通しである。

 2021年度については、前述のとおり今年度第3次補正予算及び2021年度予算が国会で承認され成立すれば、減少幅が縮小し、前年度比2.0%減の25兆3,500億円となる見通しである。

【民間住宅投資】

 2019年度は、消費税率引き上げに伴い、前半の駆け込みと後半の反動減、相続税制の改正による貸家建設の投資メリットの減殺、マンション価格の高止まりによる契約率の低下などが影響し、住宅着工戸数は、88.4万戸で、2014年度以来の90万戸割れとなった。

 2020年度は、こうした傾向を引き継ぎながら、年度当初から新型コロナウイルス感染症の影響により、ハウスメーカー等の営業活動が停滞した。その後、回復したが、年度全体としては、前年度比8.7%減の80.7万戸と見込まれる。

 持家着工戸数が昨年11月に16か月ぶりに前年同月比で増加するなど、やや下げ止まりの兆しが見られ、リーマンショック以来の80万戸割れは回避される可能性がでてきたが、いずれにしろ、民間住宅投資額は、前年度比7.5%減の15兆1,200億円となる見込みである。

 2021年度は、企業業績の低迷が、勤労者所得の低下や雇用情勢の悪化、地域経済の停滞につながり、家計を圧迫することなどによって、さらに減少が続くことが予想される。

 年度後半には持ち直すが、0.6%減の80.2万戸と予測する。出来高として投資額が実現するには、契約・着工から一定の時間差が想定されるため、2021年度の民間住宅投資額は、むしろ2020年度の着工戸数の減少が影響して、前年度比4.4%減の14兆4,600億円となる見通しである。

【民間非住宅建設投資】

 2019年度後半からすでに民間設備投資が弱含みにある中、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年度4-6月期の実質GDP成長率(季節調整済年率換算)は、「戦後最悪」の年率29.2%減となり、7-9月期は22.9%の急回復となった(内閣府「2020年7-9月期四半期別GDP速報(2次速報値)」による)。

 急回復の内容は「個人消費」「政府支出」「輸出」であり、「民間企業設備投資」「民間住宅投資」はいずれも減少を続けている。また、景気全体として持ち直しの傾向はあるが、水準はコロナ前に達していない。

 これらの動きを踏まえ、実質民間企業設備を2020年度は前年度比11.2%減、2021年度は回復が期待できるが、そのスピードは緩やかであるとして前年度比2.2%増と予測した。

 2020年度の名目民間非住宅建設投資については、製造業の設備投資が2019年度から減少傾向に入っている中で、新型コロナウイルス感染症の影響により、宿泊施設や店舗の減少が予測されること、一方で、いわゆる「手持ち工事」が約11兆円蓄積しており、倉庫・流通施設が好調であることから、前年度比4.1%減の16兆8,000億円と予測した。この見方はおおむね、5月、7月、10月の推計から変えていない。

 2021年度については、景気全体が持ち直しても、企業の設備投資に対する姿勢が慎重であり、鉄道・交通事業者の不振が懸念されるとともに、2020年度の受注の減少が時間差を伴って顕在化すると考え、2.4%減の16兆4,000億円と予測した。

【建築補修(改装・改修)投資(旧「建築物リフォーム・リニューアル投資)】

 民間建築補修(改装・改修)投資については、新型コロナウイルス感染症の影響により、大幅に減少し、前年度比16.7%減の5兆5,500億円と見込む。

 また、2021年度については、省エネルギー対策、防災・防犯・安全性の向上などの建築物の高機能化などへの需要があることから比較的早期の回復を見込み、0.7%増の5兆5,900億円となる見通しである。

【マクロ経済】

 昨年12月8日に公表されたGDP7-9月期四半期別2次速報では、7-9月期の急回復が伝えられ、同じく12月18日に閣議了解された政府経済見通しでは2020年度実質GDP成長率はマイナス5.2%、2021年度はプラス4.0%とされている。

 しかし年明けから緊急事態宣言が発令されたこと等により、経済の先行きには不透明感が増している。特に企業、家計とも投資を控える傾向が強くなっている面がある。

 また、仮に回復軌道に入ったとしても、建設投資は他の指標よりも時間差を持って遅く回復する傾向があることもあり、2月中旬の10-12月期GDP速報等、今後のマクロ指標の動向にも注意する必要がある。

【今回の予測結果】(単位:億円)

2020年度(見通し) 2021年度(見通し)
対前年度伸び率 対前年度伸び率
 名目建設投資 633,500 ▲3.1% 618,000 ▲2.4%
 名目政府建設投資 258,800 4.1% 253,500 ▲2.0%
 名目民間住宅投資 151,200 ▲7.5% 144,600 ▲4.4%
 名目民間非住宅投資 168,000 ▲4.1% 164,000 ▲2.4%
民間建築補修(改装・改修)投資 55.500 ▲16.7% 55.900 0.7%

注)政府建設投資は、政府建築補修(改装・改修)投資を含む。

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経営関連・統計情報

国交省:設備工事業に係る受注高調査結果(令和2年11月分速報)

11月の電気工事受注高は前年同月比21.3%減

 国交省から電気工事主要20社の受注高調査結果(令和2年11月分速報)が公表された。

<11月度受注額>

  • 受注総額は1,076億円で前年同月比21.3%減となった。
  • 発注者別にみると、民間工事は990億円で前年同月比20.7%減、官公庁工事は86億円で前年同月比27.8%減であった。
  • 受注形態別にみると、元請工事は520億円で前年同月比18.1%減、元請比率は48.3%となった。

<令和2年度(4月〜11月)累計受注額>

  • 受注高累計は1兆127億円で前年同期比5.4%減であった。
  • 発注者別にみると、民間工事は9,033億円で前年同期比6.8%減、官公庁工事は1,095億円で前年同期比8.9%増であった。
  • 受注形態別では、元請工事が4,611億円で前年同期比4.9%減、下請工事が5,517億円で前年同期比5.8%減であった。

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経営関連・統計情報

大手ゼネコン受注実績(2020年12月)

12月の建設受注、前年同月比 2.5%減

  日本建設業連合会(日建連)は2021年1月27日に、法人会員 95(社)の2020年12月受注実績調査結果(速報)を公表した。

12月の受注総額 15,568億円 前年同期比 ▲ 2.5%

・国内受注は、 15,283億円(民間は 10,765億円 官公庁は 4,495億円 その他 23 億円)
・海外受注は、 285億円

国内受注の地域ブロック別では
・関東が 6,812億円、近畿が 3,482億円、九州が 1,381億円の順番であった。

2020年度 累計(4〜12月まで) 89,873億円 前年度同累計比 ▲ 7.6%

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新刊図書のご案内

 当協会では、人材育成や最新の技術情報の発信を目的に各種書籍を発行しています。
「施工図の書き方」は、現場施工の重要性に鑑み、初版の発行以来、現場担当者向けの手引き書として高い評価をいただき、多くの企業に採用されています。
本書の申込はホームページで受け付けています。

『新編 電気設備工事 施工図の書き方 改訂第3版』【2月1日発行】

著 者 (一社)日本電設工業協会 出版委員会 単行本企画編集専門委員会
発行所 (一社)日本電設工業協会
B5判 320頁 定価5,940円(本体5,400円+税10%)、送料別

■電気設備の施工では、元請業者の現場担当者が施工図を作成し、工事の指示書として現場で活用されています。

 本書は、施工図を作成するツールとして活用することで、効率よく業務を進められるようにまとめています。施工図の概要、電気設備関連施工図の見方及び施工図作成要領として、共通事項、受変電設備から雷保護等まで設備ごとに掲載、構成しています。

 今回は、法令規則等を中心に、全編の見直し・変更を行いました。

■目次
第1編 電気設備の施工図
第2編 電気設備施工図作成要領
 第1章 共通事項
 第2章 受変電設備
 第3章 自家発電設備
 第4章 太陽光発電設備
 第5章 直流電源設備
 第6章 交流無停電電源設備
 第7章 幹線設備
 第8章 動力設備
 第9章 電灯・コンセント設備
 第10章 構内情報設備
 第11章 防災設備
 第12章 構内配電設備
 第13章 雷保護設備
 第14章 接地工事
 第15章 中央監視制御設備
第3編 電気設備関連施工図
 第1章 建築設計図の見方と施工図
 第2章 空調設備設計図の見方と施工図
 第3章 給排水・衛生設備設計図の見方と施工図
 第4章 搬送設備設計図の見方と施工図

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『電設技術』2月号は、「常用発電設備の計画・設計・施工」特集(2月15日発売)

定価(1,286円+税)送料別
立ち読み

特集 常用発電設備の計画・設計・施工(2021年2月15日発売)
 今月号は常用発電設備に関する特集です。常用発電機設備は、地域冷暖房施設や特電(特定供給)などの限られた施設で設置されることが多く、施工を経験することが少ない工事です。しかし、常用発電機設備のコストは、電気設備工事全体のコストの中で大きなウエイトを占め、施工の失敗は致命的になることがあるので、ぜひ知っておきたい知識のひとつです。

 本稿では,都市ガス(13A)を燃料とした常用発電機設備を設置する場合の計画・設計・施工について,基礎的な内容について解説しています。常用発電機設備の施工に当たり,施工担当者の参考になる内容となっています。

【特集の目次】
 常用発電機の燃料計画/常用発電機の納入仕様書/常用発電機の建屋計画/特殊消火設備/屋外型常用発電機/常用発電機の試運転

連載 1級電気工事施工管理技術検定試験受験講座 令和2年度学科試験 問題と解説(2)
2019年 新築ビルディング電気設備データ一覧表(2)

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今月の「会員専用ダウンロードサイト」パスワードのお知らせ

「会員専用ダウンロードサイト」のお知らせです。
2月のパスワードは「r2bfvg7n」(半角小文字)です。
このサイトへのアクセスは、ID(会社名)とパスワードの入力が必要です。
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(一社)日本電設工業協会
〒107-8381 東京都港区元赤坂 1-7-8 (東京電業会館 4F)
電話:03-5413-2161 FAX:03-5413-2166