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国交省:国土交通月例経済(令和2年12月号)

第3次補正予算案、令和元年度予算案が国会審議へ、再び緊急事態宣言

 新型コロナウイルス感染症は冬期に入って感染者が増加し、1月7日、東京都はじめ1都3県に、続いて13日には大阪等7府県に緊急事態宣言が発令された。

 昨年12月22日に公表された「月例経済報告」では、個人消費に回復の兆し、公共投資は堅調、輸出は増加しており、「厳しい状況の中でも持ち直しの動きが見られる」とされていたが、設備投資や住宅などは依然として低調であり、先行きへの不安から、景気の停滞が長期化することが懸念されている。

 こうした中で、政府は、国土強靭化に係る公共事業関係費1兆7,500億円を含む国費2兆2,600億円、事業費3兆5,000億円を計上する令和2年度第3次補正予算案と、「国土強靱化5か年加速化計画」、さらに防災・減災、インフラ老朽化対策の強化等を図る国土交通省予算を含む令和3年度当初予算案を閣議決定した。

 令和3年度予算案における国土交通省の公共事業関係費は、当初予算ベースでは前年度比約1割の減となっているが、この分は令和2年度3次補正で国土強靭化関係費を令和2年度に前倒しすることによって措置されている。

 従って、これまでの考え方を踏襲すれば、国土強靭化計画期間中の向こう5年間にわたって、ほぼ平成30(2018)年度〜令和2(2020)年度までの公共事業予算の規模(公共事業関係費国費ベースで国土交通省分約6兆円、政府全体では約7兆円か)が、確保される見通しである。

国土交通省関係予算の概要は以下でご覧頂くことができる。
https://www.mlit.go.jp/policy/file000004.html

【公共工事受注等】

 「建設工事受注動態統計調査」による公共工事受注額(11月、1件当たり500万円以上の工事)は、前年同月比3.3%増で、3か月連続の増加となった。発注者別に見ると、「国の機関」は、前年同月比9.1%減で、3か月ぶりの減少、「地方の機関」は、同9.4%増で、3か月連続の増加となった。

 「建設総合統計」による11月の公共工事出来高は、2兆2,115億円(前年同月比6.0%増)となり、20か月連続の増加となった。公共工事の手持ち工事高については、15兆7,581億円(前年同月比1.8%増)となった。

 民需に勢いがない現在、公共投資が引き続き堅調さを保つことは、建設市場のみならず、景気全体から見ても極めて重要なポイントである。円滑な執行のためには、発注者側の体制や現場技術者、技能者の確保が課題であり、コロナ禍と働き方改革の中での積極的な取り組みが期待される。

【住宅着工等】

 11月の新設住宅着工戸数は、70,798戸で、前年同月3.7%の減少となった(17か月連続の減少)。また、季節調整済年率換算値は前月比2.3%増の82.0万戸(4か月ぶりの増加)となった。

 利用関係別に見ると、持家は、前年同月比1.5%増と16か月ぶりの増加(季節調整済前月比7.8%増)、貸家は、前年同月比8.1%減と27か月連続の減少(季節調整済前月比5.3%増)、分譲住宅は、前年同月比6.1%減で13か月連続の減少(季節調整済前月比6.0%減)となった。

 「建設総合統計」における11月の民間居住用建築の建設工事出来高は、1兆2,802億円(前年同月比6.7%減)となり15か月連続の減少となった。一方、手持ち工事高は5兆3,776億円(前年同月比4.3%減)となっている。

 現在は、昨年度前半の停滞を取り戻している段階であり、やや回復の兆しが見えている。しかし、感染拡大の収束は残念ながら道半ばの状態であり、懸念通りコロナショックは長期化に至りつつある。すでに、雇用・勤労者所得には影響が出始めており、2021年度については、より厳しいものになると見込まれる。

【民間非居住用建築物・民間土木工事着工】

 「建築着工統計調査」による民間非居住用建築物着工床面積(11月)は、309.1万m²(前年同月比7.7%減)となり、2か月連続の減少となった。使途別の前年同月比を見ると、「事務所」が7.1%減で、7か月連続の減少、「店舗」は29.8%増で、2か月連続の増加、「工場等」は53.1%減で、11か月連続の減少、「倉庫」は32.0%増で、5か月連続の増加となった。

 用途別の「宿泊業、飲食サービス業用建築物」は、40.6%減で、5か月連続の減少となった。「医療、福祉用建築物」は、21.9%減で、こちらも5か月連続の減少となった。

 「建設工事受注動態統計調査」における11月の民間等からの受注工事のうち、「建築・建築設備工事」(1件5億円以上の工事)は、前年同月比2.3%減で3か月連続の減少となった。民間等からの「土木工事及び機械装置等工事」(1件500万円以上の工事)は、前年同月比5.9%増で3か月連続の増加となった。

 「建設総合統計」における11月の出来高を見ると、民間非居住用建築が8,340億円(前年同月比9.7%減)、民間土木が4,165億円(前年同月比0.0%減)、また、民間非居住用建築の手持ち工事高は、5兆9,999億円(前年同月比4.0%減)、民間土木の手持ち工事高は、4兆7,087億円(前年同月比11.2%増)となっている。

 民間非住宅建設投資については、コロナショックによる受注の減少が、主に顕在化してきており、倉庫を除いて、おおむね減少傾向が続いている。事務所、工場などでは改めて減少傾向が強まりそうな兆しが見られる。企業の設備投資の態度は、7-9月期の機械受注に回復の兆しが見られたが、年始からの緊急事態宣言でより慎重化した可能性がある。

 手持ち工事高は、非住宅建築と土木の合計で10兆7,086億円(前年同月比2.2%増)となっているが、政府の経済対策が、どの程度民需を刺激するか注視する必要がある。

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