これらの手続きは現状、すべて紙ベースで行われている。電子化されれば、契約書類の作成・提出に要する手間やコストの大幅な削減などが期待できる。システムは平成30年度の本格運用を目指す。
各府省庁はこれまで、平成18年3月に策定された「公共事業支援システム(官庁営繕を含む)の業務・システム最適化計画」に基づき、政府全体として業務の電子化を推進してきた。他省庁に先駆けて平成7年から検討を始めた国交省では、平成13年にインターネットによる入札情報提供サービス、平成15年に電子入札の全面運用を開始している。
最適化計画に位置付けられている4つの対象範囲のうち、「入札情報提供業務」「入札手続業務」「業務・工事成果品管理等業務」の3つはすでに電子化を完了。今回、残る「契約手続業務」の実現に動く。
電子契約システムの土台部分には、総務省が運用している物品・役務用の電子調達システムを流用し、開発コストを抑える。そして、物品・役務に比べて複雑な契約変更に関する部分などを工事・業務用として独自に付加する。
予定どおりにいけば、平成30年度以降には、入札・落札というプロセスは電子入札システム、契約から支払請求までは電子契約システムで行えるようになる。将来的には両システムの連動も視野に入れている。紙による契約がなくなるわけではなく、受注者側はどちらかを選択することになるもよう。
契約関係手続きは現在、すべて紙で実施され、契約締結や契約変更、検査、支払請求といった節目ごとに、受注者は必要書類を作成して発注者に持参している。
電子化によって紙代や印刷代、移動経費などのコスト縮減が図られるほか、書類作成事務や発注者のアポイント取得、役所での待機など、さまざまな手間の削減にもつながる。
さらに現状、電子書類には印紙税がかからないことになっており、金額の大きな公共工事などでは、この部分を特筆すべきメリットとして挙げられそうだ。
発注者側にとっても、重複入力の解消や誤入力の防止、契約確定に要する時間の短縮といった効果を生み、契約変更や検査の迅速化なども期待できる。
システム参加を予定しているのは国交省など4府省。同省が代表となり、現在、仕様書案に対する意見募集を9月14日まで行った。その後、仕様書を固めて入札にかけ、システムの開発に着手する。
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