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建築物省エネ法 平成28年4月から容積率特例 設備部分の床面積算入せず

 延べ2,000m²以上の大規模非住宅建築物に対して、新築時における建築物のエネルギー消費性能基準(省エネ基準)への適合を義務化する「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律案」(建築物省エネ法)の成立を受けて、国交省は、平成28年4月から容積率特例など建築主に対するインセンティブ措置を講じる。

 省エネ性能を向上させるための設備部分を通常の床面積に算入しないことで、コージェネレーション設備の導入など、省エネ基準を超す高度な対応を促す。

 8月20日に開いた経産省の総合資源エネルギー調査会・省エネルギー小委員会建築物エネルギー消費性能基準ワーキンググループ(座長・川瀬貴晴 千葉大学大学院 工学研究科教授)と、国交省の社会資本整備審議会・省エネルギー判断基準等小委員会(委員長・坂本雄三 建築研究所 理事長)の合同会議に、容積率特例など誘導措置の考え方を示した。

 合同会議は、適合義務のベースとなる「省エネ基準」やエネルギー消費性能向上計画(省エネ性能向上計画)の認定などの「誘導基準」、住宅トップランナー制度における「住宅事業建築主基準」など、建築物省エネ法に基づき、経産省令・国交省令で定める“基準”を検討する。

 3つの基準は、原則としてエネルギー使用合理化法(省エネルギー法)に基づく基準体系を適用。ベースとなる省エネ基準は1次エネルギー消費量基準、容積率特例などの誘導基準は1次エネルギー消費量基準と外皮基準を用いる。非住宅建築物の誘導基準は、1次エネルギー消費量の換算で省エネ基準よりも2割の削減、住宅は1割の削減を求める方向で検討する。

 9月11日に開いた会議で省令・告示案などの基準(案)を提示。パブリックコメントの募集などを経て、12月に省令・告示を公布する。

 焦点となっている建築物省エネ法は、住宅以外の一定規模以上の建築物に対する省エネ基準への適合義務と、省エネ性能向上計画の認定制度の創設が柱。規制措置として、建築主に省エネ基準への「適合義務」と基準適合の「判定を受ける義務」の2つの義務を課すことに加え、誘導措置として新築または改修の計画(省エネ性能向上計画)が基準に適合すると認定した場合に、容積率の特例を受けることができるインセンティブを設ける。

 各制度は2段階で施行。平成28年4月の第1弾施行で、省エネ性能向上計画の認定制度や容積率特例をスタートさせる一方、平成29年4月の第2弾施行で延べ2,000m²以上の大規模非住宅建築物に対する省エネ基準への適合を義務化する。

 とくに容積率特例は、設備機器の導入部分を容積率に算入しないことで、太陽光発電設備やコージェネレーション設備の導入など、より積極的な省エネ対応を促すことが期待される。

 また、省エネ基準などで評価できない新技術を用いる建築物が、基準に適合するかどうかを判定する制度として、登録性能評価機関による大臣認定制度を活用。評価方法が基準化されていない自然通風の利用や河川水などの未利用熱を利用する建築物は、大臣認定の枠組みを使って評価することになるため、建設産業における省エネ技術の開発を、より一層加速させることにもつながる。

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