国交省は9月8日に「国土交通月例経済(8月号)」を公表した。
9月8日に内閣府が発表した平成27年4〜6月期のGDP(二次速報)は、実質で年率1.2%減となり、先月発表の一次速報(同1.6%減)から上方修正されたが、3四半期ぶりのマイナス成長となった。
先月発表の一次速報から、設備投資が下方修正されたが、個人消費が落ち込み、中国等の景気減速で輸出が低迷するなかで、在庫投資の増加によりGDPが上方修正されたもので、景気回復の足踏みを示す結果となった。
公共工事受注額(6月)は、総計(1件あたり500万円以上の工事)で、前年同月比4.2%減と前年同月比で5カ月連続の減少となった。最新データ(9月10日公表)の7月分では、国の機関は前年同月比11.7%減、地方の機関は同8.2%減で、全体として同9.2%減と、前年同月比で6カ月連続の減少となった。
4〜6月期のGDP(二次速報)では、公的固定資本形成は、実質で前期比では2.1%増と2四半期ぶりに増加したが、公共工事発注額(1件あたり500万円以上の工事)は、4〜7月では、前年同期比で国の機関は33.4%減、地方の機関は同10.9%減で、全体として同19.9%減と減速感が鮮明になっているだけでなく、都道府県ごとの格差が大きい。
前年度を下回っているのは、平成25年度補正予算と平成26年度当初予算の前倒し執行による反動が出ているということだが、平成25年度や平成24年度の同期比を下回っているところもある。
発注量が少ないと地域からは予算の確保を求める声とともに、自民党からも補正予算による公共事業の積増しを求める声も出始めているが、「人手不足や資材価格上昇を招くだけ」「民間工事を圧迫する」などという昨年と同様の議論が早くも多く出回っている。
平成28年度予算概算要求が出そろい、国交省も「新しい日本のための優先課題推進枠」を最大限活用した要求を行っているが、6月に閣議決定された骨太方針で堅持された財政健全化目標の下、一般会計の公共事業関係費は今後も厳しい状況が続くと予想される。
新設住宅着工戸数(7月)は、前年同月比で分譲住宅で減少したが、持家、貸家で増加し、総計78,263戸(前年同月比7.4%増)と5カ月連続の増加となった。年率換算値(季節調整済)は91.4万戸(前月比11.5%減)となり、先月の増加から再びの減少となった。
持家着工は、前年同月と比べて8.0%増加し、3カ月連続の増加となり、季節調整値の前月比では6.0%減少した。
貸家着工は、7月は前年同月と比べて18.7%と大幅に増加し、3カ月連続の増加となった。季節調整値の前月比では2.0%減少した。
分譲住宅の着工は、前年同月と比べて9.0%減少し、4カ月ぶりの減少となり、季節調整値の前月比でも31.7%減少した。マンションは前年同月と比べて17.6%の減少となった。
住宅の着工について、先行指標である8月の受注速報をみると、持家(大手5社平均)、貸家(大手3社平均)ともに昨年10月以降、11カ月連続してプラスである。国交省も、住宅着工の動向について、「昨年4月の消費税率引上げにともなう駆け込み需要の反動の影響が薄れ、持ち直しているとみている」「反動減の影響が大きかった持家は、前年同月比で3カ月連続の増加となった。今般の経済対策等の効果が住宅着工に表れていると思われる」と6月に引き続いて評価した。
民間非居住建築物着工床面積(7月)は421万m²、前年同月比10.8%増、先月の減少から再びの増加となった。前年同月比で、倉庫は2カ月連続の減少となったが、事務所は2カ月連続の増加、工場は7カ月連続の増加、店舗は先月の減少から再びの増加となり、全体で増加となった。
4〜6月期のGDP(二次速報)では、設備投資は、実質で前期比で0.9%減と一次速報(前期比0.1%減)から下方修正され、3四半期ぶりのマイナスとなった。
甘利経済財政政策担当大臣は、4〜6月期の法人企業統計が発表された9月1日の閣議後の会見で「経常利益が過去最高を更新したのに比べると、設備投資の回復はまだ弱い」旨を述べた。政府は、経済界との官民対話で設備投資の拡大等を促すと言っているが、設備投資計画が実際の設備投資や建設投資に結び付くことが引き続き期待される。
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