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建設人材確保対策さらに手厚く 基幹技能者処遇で新規助成

 建設産業界が直面する最大課題の「担い手確保・育成」に対し、厚労省は新たに助成金創設など平成28年度から、さらに支援強化する。

 現場の職長らが該当する登録基幹技能者の賃金などで処遇を向上させた企業への助成金を創設するほか、女性専用トイレ設置など現場の作業環境改善をした中小元請けに対しても新規助成を開始する。魅力ある職場づくりや技能承継など、中小企業が資金面から単独で行うことが難しいことに対し、厚労省も職業訓練など従来事業だけでなく、新たな助成金という資金面からも支援を拡大させる。

 厚労省は、平成28年度の建設人材確保対策をまとめた。魅力ある職場づくりの推進、ハローワークにおけるマッチングの強化、職業訓練の充実を3本柱に、国交省や建設産業関係団体と連携して、技能継承のための担い手確保に取り組む。対策は建設労働者確保育成助成金(建労金)をはじめとした企業支援や研修の実施など10事業で構成。平成28年度予算の概算要求には136億8,000万円(一部製造業分含む)を計上した。

 魅力ある職場づくりの推進のうち、建労金は助成対象を拡充する。「登録基幹技能者」の賃金などの処遇を向上させた企業への助成金交付を創設するほか、建設技能を継承するための指導者養成訓練コースに対する助成を新たに実施する。

 また、建設工事現場に女性専用のトイレや更衣室などを整備した中小元請企業への助成も新規で始める。女性労働者の技能習得に対する経費助成の対象は、大企業・中堅企業にも広げる。

 ハローワークでのマッチング強化では、建設分野の求人ニーズが高い全国68カ所のハローワークで実施している「建設人材確保プロジェクト」で、平成28年度から新たに、求人企業による職場や工事現場の見学会を支援する。ハローワークが求職者を集め、バスで求人している建設企業やその企業の工事現場に求職者を送ることなどを想定している。
 1ハローワーク当たり、年間2回程度の職場見学会の実施を見込んでいるという。

 職場見学会の実施は、平成27年度からスタートさせた建設業界の動向といった最新情報など、求人票には記載されない内容を盛り込んだ管内情報誌を各労働局・ハローワークが作成する取組みに加えたものとなる。

 平成28年度のプロジェクト実施ハローワーク数は平成27年度と同じ。建設分野専任の就職支援コーディネーターは、平成27年度の21人から2人増の23人とする。

 職業訓練の充実のうち、「建設労働者緊急育成支援事業」は、建設労働者養成人数を平成27年度の600人から平成28年度は1,000人に増やす。養成対象職種も建設駆体職種に加え、電気や配管など建設設備職種にも広げる。同事業によって、平成27〜31年度の5年間で1.8万人の建設労働者を養成する。

 ものづくりマイスター制度では、中小企業や工業高校での実技指導で、技能競技大会の競技課題や技能検定試験の実技試験課題を活用して、マイスターによる実技指導を積極的に実施する。

■厚労省の平成28年度建設人材確保対策

◆魅力ある職場づくりの推進

  • 建設労働者確保育成助成金〈拡充〉〈概算要求額53.4億円〉
    登録基幹技能者の処遇向上や女性専用作業員施設の整備に対する助成を追加
  • 雇用管理制度導入コンサルティング支援〈継続〉〈4.3億円〉
    業界団体などに委託し、雇用管理制度導入にかかるコンサルティングや好事例などのセミナーを実施
  • 雇用管理責任者に対する研修〈継続〉〈1.1億円〉
    平成27年度から開催地域を拡充し、事業主が参加しやすい環境を整備
  • 高年齢者が就労しやすい環境整備〈継続〉〈29.5億円〉
    建設業などの特定分野事業を営む事業主は、平成27年度から60歳以上の雇用者1人当たりの上限額の引き上げ(20万円→30万円)
  • 職長などに対する現場での指導力向上研修〈拡充〉〈0.6億円〉
    建設現場での安全管理水準向上のため、作業中の労働者を直接指導、監督する職長などに対する指導力向上研修を実施

◆ハローワークにおけるマッチング強化

  • 建設人材確保プロジェクト〈拡充〉〈1.7億円〉
    建設関係職種の未充足求人へのフォローアップ徹底の取組みを推進。平成28年度は、取組みの充実として、職場見学会を実施
  • ジョブサポーターによるきめ細かな支援〈継続〉〈0.1億円〉
    大学への出張相談など在学中からの就職支援や未就職卒業生への担当者制によるきめ細かな就職支援、職場定着支援を実施(平成27年度から建設も含めた多様な業種に関しての職業理解を進めるための業界団体などにおける地元企業の高校内企業説明会を実施)

◆職業訓練の充実など

  • 建設分野における公共職業訓練〈継続〉〈3.2億円〉
    建設機械などの運転技能だけでなく、パソコンスキル講習などと組み合わせた「総合オペレーション科」を引き続き実施
  • 中小建設事業主等への支援 〈継続〉 〈9.2億円〉
    認定職業訓練制度の充実や業界団体と連携した人材育成事業(建設労働者緊急育成支援事業)を実施
  • ものづくりマイスター制度による若年技能者などへの実技指導 〈継続〉 〈33.7億円(建設業と製造業の合計)〉
    ものづくりマイスターを中小企業などに派遣し、若年技能者への実技指導を実施

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